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契約社員の更新拒絶と慰謝料(H25.12.10判決)

(はじめに)
 最近,正社員と契約社員(有期労働契約社員)との格差などが問題となっていますが,今回は,雇用契約について、使用者による契約社員の契約更新拒絶が認められなかった裁判例(大分地判平成25年12月10日(平成24年(ワ)第557号正規労働者と同一の雇用契約上の地位確認等請求事件))についてご紹介いたします。
 
(事案の概要)
 本件は,使用者であるY社(石油製品等の保管及び搬出入作業,貨物自動車運送作業等を目的とする株式会社)との間で有期労働契約を反復して更新してきた労働者であるX(Y社の支店で貨物自動車の運転手として勤務し,タンクローリーによる危険物等の配送を行っていた。)が,Y社が有期労働契約更新の申込みを拒絶したことは,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められず,従前の有期労働契約と同一の労働条件での更新の申込みを承諾したものとみなされたと主張して,Y社に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め,更新拒絶期間中の賃金及び慰謝料等を請求した事案である。
 
(大分地方裁判所の判断)
 本件の争点は,契約更新の合理的期待の有無及び更新拒絶の相当性の有無である。
 裁判所(大分地裁)は,正社員と準社員(有期労働契約社員)との間には,転勤,出向の点において大きな差がないこと,正社員の運転手の配置の範囲が準社員のドライバーと異なるとはいえないと認定し,本件雇止め(更新拒絶)は,無期契約労働者(正社員)への解雇と社会通念上同視することができると判断し,Xの更新に対する期待には合理的な理由がある(労働契約法19条2号)と判断しました。
 そして,Xの雇止めの理由としてY社が主張する事項については,そのような事実の存在は認められないとし,Y社の更新拒絶は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められないと判断し,Y社は同一の労働条件でXによる更新の申込みを承諾したものとみなされ,Y社のXに対する賃金の一部及び慰謝料の支払いを認めた。 

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