竹口・堀法律事務所


判例(裁判例)紹介


連帯保証人の責任(H25.1.31判決)


2014/10/20 22:30

(はじめに)
 当事務所では、不動産に関する案件も数多く取り扱っており、特に、賃料請求や立ち退きに関するご相談、連帯保証人の責任等に関するご相談も多いです。
 そこで、今回は、連帯保証人に対して賃料請求がなされた事案に関する裁判例(大阪地判平成25年1月31日(平成24年(ワ)第6877号)建物明渡等請求事件)をご紹介します。
 今回の裁判例は、事案の概要も裁判所の判断の内容もやや難しいので簡単に説明しておくと、貸主(家主)が、借主が賃料を払わないことを理由に賃貸借契約の解除をした後、連帯保証人に対して多額の滞納賃料の請求をした場合に、その請求が全て認められるかどうかという問題です。
 これに対して、裁判所は、借主が行方不明となり、借主が賃料を払わないことが分かりきっているのに、家主が連帯保証人にこれを知らせず放置して、未払賃料額をふくれあがらせておいて、連帯保証人に対して全額を請求することは、貸主としての正当な権利の行使とはいえないとして、貸主の請求を一部しか認めませんでした。これは、連帯保証人の責任を制限した裁判例といえます。
 
(事案の概要)
  本件は,建物賃貸借契約の賃貸人であるX(本件建物内に本店を置く会社)が,賃借人Aの連帯保証人であるYら(Aの連帯保証人である実兄Bの相続人3名(Bの配偶者及び子))に対し,賃貸借契約が賃料不払いを理由に解除されたとして,平成17年1月分以降の未払賃料の合計702万円及び毎月の未払賃料に対する年14.6パーセントの割合による各遅延損害金の合計約371万円,並びに,明渡済みまでの月額賃料の1.5倍の賃料又は損害金の連帯支払を求めた事案である。
  XとAとの間の本件賃貸借契約には,賃貸期間を2年(ただし,賃貸人及び賃借人双方に異議がないとき又は一方から何ら申出がないときは同一条件で契約が更新される)とし,毎月の賃料につき支払を怠ったときは年14.6パーセントの割合による遅延損害金を支払う,契約解除後退去済みまでは賃料の1.5倍の賠償金を支払うとの約定が存在していた。
 
(大阪地方裁判所の判断)
 本件における争点は,Xの請求が信義則に反するといえるか否かである。
  大阪地方裁判所は,本訴請求債権のうち,5年以上前の賃料債権については,時効により消滅したものと認められるとしたうえ,さらに,Xは,本件建物部分のある建物内に本店を置き,原告代表者も上記建物内に住所を置いており,Aによる本件建物部分の管理,賃料の支払等の賃借人としての義務の履行状況を容易に把握できる立場にあったのに対し,連帯保証人Bは,本件建物部分から離れた場所に居住しており,Aの賃借人としての義務の履行状況を十分に把握できる立場になかったこと,Aが荷物を残して行方不明となってしまうといった事態になり,本件建物の賃借人として負う債務の任意履行が全く期待できない状況に立ち至った場合にも,賃貸人であるXは,連帯保証人であるBを頼みとすることができる一方,Xが賃借人であるA不在の状況をそのまま放置して本件賃貸借が更新されるにまかせれば,それだけ連帯保証人であるBの負うべき負担はふくれ上がること,原告代表者がBに電話をしたのは,Aが行方不明となる前のことであって,しかも,Bに伝えた内容は全く判然としない上,Aが行方不明となった後は7年近くも何もせずに放置したことを原告自身が認めていること等に照らすと,平成16年9月にはAが行方不明となったというのであり,その賃借人としての債務の任意履行が全く期待できない状況が現出したといえるから,権利行使をするかどうかは権利者の自由であるとの原則を最大限考慮したとしても,少なくとも,本件賃貸借がAが行方不明となってから2回目の更新を迎えた平成19年5月13日以後に生じる関係については,XがBに対して連帯保証人の責任を追及することは信義誠実の原則に反し許されないというべきであるとし,Xの請求を棄却した。 


< 前へ一覧次へ >

このページの先頭へ[1]

HOME[0]


事務所のご案内
お問い合わせ
プライバシーポリシー

Copyright (C) 竹口・堀法律事務所
All rights reserved.