HOME > トピックス > アーカイブ > 2014年6月アーカイブ

トピックス 2014年6月アーカイブ

刑事事件に関する裁判員制度が始まって5年が経ちました

  刑事事件に関する裁判員法が施行されて5年が経過したことを踏まえて、日弁連の会長談話が出されました。

 会長によると、裁判員裁判制度自体は安定した運用が定着しているとして評価できるとしつつ、上訴審において裁判員の判断が十分に尊重されていないという問題があることや、検察官の活動と比べて弁護人の活動がわかりにくいこと

などが問題点として指摘されています。

 長崎・佐世保においても、テレビや新聞の報道などにより、「裁判員裁判」という制度の大まかな仕組みについてはほとんどの市民の皆様が理解されています。
 日頃の業務の中でご相談者の方々から裁判員制度について質問されたり、

日常生活の中で友人や知り合いから裁判員制度についての質問をされることもあります。中には、実際に裁判員の候補者になった人が身近にいるという方もいました。
 特に長崎市では、最近も重大事件が発生して裁判員裁判が開かれましたから、市民の皆様にとって重大な関心事となっているようです。

 もっとも、長崎で裁判員裁判が開かれるのは長崎市(長崎地裁本庁)のみであり、佐世保市(長崎地裁佐世保支部)では裁判員裁判は開かれません。
 そのため、佐世保市では、裁判員制度に対する興味・関心は、長崎市内の方々よりもやや薄いかもしれません。

 裁判員制度について、全国的には、裁判員となったことにより苦痛を被ったとして国が訴えられたケースが発生したり、裁判員裁判において死刑という判決が下されたにも関わらず上訴審で判決が覆されたケースが発生するなど、裁判

員裁判の運用に関する問題点はまだまだ残されたままです。
 なお、前者の問題点については、裁判員に見せる証拠については残酷ではないものや白黒写真に差し替えるなどの工夫がなされているようですが、これによりかえって裁判員が適正な判断ができなくなるのではないかとの意見もあります。

 当事務所でも、長崎や福岡の裁判員案件を取り扱っており、被告人側の弁護人となることもあれば被害者側の代理人となることもありますが、今後の裁判員裁判の運用に注目していきたいと思っています。
 

※裁判員裁判の対象事件は、地方裁判所(長崎地方裁判所、佐賀地方裁判所、福岡地方裁判所など)で行われる刑事裁判(刑事事件、第一審)のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての刑事裁判である。詳しくは、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)」で定められており、刑事事件のうち、死刑または無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(裁判員法2条1項1号)や、法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(裁判員法2条1項2号)とされている。
 

佐世保・長崎・佐賀・福岡の弁護士
竹口・堀法律事務所 


日弁連がカジノ(カジノ解禁推進法案)に反対する意見書を提出しました

 現在、「カジノ解禁推進法案」(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)が国会に提出され、今国会において審議されているようです。
 この法案は、現政府によるいわゆるアベノミクスと呼ばれる経済政策の一環として位置づけられているとも言われています。
  具体的には、いわゆるアベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略のいわゆる「3本の矢」に関する諸政策とともに、経済効果をより高めるため、東京オリンピックの誘致を行うとともに、カジノ解禁を行おうとしていると言われています。
 カジノの解禁については、解禁により観光及び地域経済の振興に寄与するとともに財政の改善に資するとの理由で上記法案が提出され、カジノの誘致先としては、長崎県佐世保市のハウステンボスや大阪府が候補地として挙がっています。
  佐世保市でも、カジノの誘致に力を入れて取り組んでいるようです。
 したがって、長崎県民(佐世保市民)としても、この法案の行方に注目せざるを得ません。
 これに対して、今回日弁連が家事の解禁推進法案に反対する意見書を提出した理由は、大まかにいうと以下の6点です。すなわち、


①他国(アメリカや韓国)の例からするとカジノにより経済効果があがるというのはそもそも疑問がある、
②カジノを解禁すると暴力団が関与することが予想されるため暴力団対策上の問題点が生じる、
③他国ではカジノに関するマネーロンダリングが問題となっており、日本でもマネーロンダリング対策上の問題が生じる、
④カジノが解禁されてしまうとギャンブル依存症が拡大してしまう、
⑤カジノの解禁により青少年に悪影響が生じる、
⑥カジノを民間企業の経営に任せると、適切に経営できるのかどうか疑問がある


という6点です。


  仮に佐世保へのカジノの誘致が成功した場合、確かに一定の経済効果が見込めるようにも思えますので、佐世保市民としてはカジノの誘致に賛成したい気持ちになるかもしれません。

  しかしながら、上記6点のような事柄が十分に議論されないまま上記法案が通ってしまうことには危険を感じますので、慎重な議論がなされることを望むばかりです。


佐世保・長崎の弁護士
竹口・堀法律事務所 


1

« 2014年5月 | メインページ | アーカイブ | 2014年7月 »

このページのトップへ