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トピックス 2015年9月アーカイブ

家事事件に関する日弁連の取り組み

1 はじめに
 日弁連では,以下のとおり,家事について様々な取組をしています。
 具体的には,①相続に関する取り組み,②戸籍に関する取り組み,③国際裁判管轄に関する取り組み,④親子関係に関する取り組み等です。
 

2 ①相続に関する取り組み
 相続については,近年,非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定が違憲である旨の判断がなされ,実際に,民法の該当部分が削除されました。
 そこで,日弁連では,今後の問題として,相続面においてより配偶者を配慮した相続法制にすべきではないかとか(居住権確保等),寄与分制度や遺留分制度の見直し等が検討されています。
 

3 ②戸籍に関する取り組み
 マイナンバー制度の導入に伴い,戸籍との関わりやこれからの戸籍制度の在り方等について,各種の議論がなされています。
 

4 ③国際裁判管轄
 近年,国際裁判管轄に関する法律が改正されたことに伴い,様々な検討がなされています。


5 ④親子関係に関する取り組み
 親子関係についても,DNA鑑定の結果が民法上の親子関係の判断に必ずしも影響しない旨の裁判所の判断を踏まえて,最先端の技術と子の福祉をどのように考えるか等,いろいろな議論がされています。
 例えば,代理出産等の生殖補助医療等についての議論などがなされています。 


弁護士保険の対象拡大(H27.9)

1 弁護士保険
 日弁連は,各損害保険会社との間で,弁護士保険(権利保護保険)に関する協定を締結しています。
 その結果,各損害保険会社から,弁護士保険に関する様々な保険商品が出されています。


2 交通事故案件
 従来,弁護士保険といえば,交通事故案件に関するものが主でした。
 当事務所でも,交通事故に関する損害賠償請求交渉や訴訟(被害者側,加害者側)の依頼を受ける際には,弁護士保険(弁護士費用特約)がついているかどうかを確認し,ついているようであれば,依頼者本人ではなく,依頼者が契約している保険会社に弁護士費用(着手金,報酬金,実費)を請求しています。
 

3 今後拡大される対象
 最近,弁護士保険の対象案件が拡大しています。
 そしてこの度,日弁連と損害保険ジャパン日本興亜株式会社との相手で,追加協定を締結したそうです。
 同社は,これまで,交通事故案件と日常生活事故等を対象とした弁護士保険商品を扱っていましたが,この協定により,その他の案件も対象事件となるようです。
 例えば,離婚調停,遺産分割調停,労働問題,借地・借家に関する問題,人格権侵害等が,新たに対象となるようです。
 

4 対象拡大の結果
 上記3のように対象が拡大されると,これまでと比べ,より様々な案件について,弁護士保険が利用可能となります。
 弁護士保険が利用可能な場合,弁護士としては保険会社に弁護士費用を請求しますので,ご本人で費用を負担する必要はありません。
 当事務所では離婚問題の案件数が多いですが,離婚の案件で特に妻側からのご依頼の場合,経済的苦境のために弁護士費用の心配をしなければならないケースも多々あります。
 ですが,仮に離婚問題も弁護士保険の対象となるのであれば,経済面の心配がかなり軽減されますので,ご依頼者にとっては,望ましいことだと思われます。 


「子どもの手続代理人」が有用な事案の類型

1 子どもの手続代理人制度
 最近,日弁連(日本弁護士連合会)から,子どもの手続代理人の制度を利用することが有用な事案の類型について,紹介がなされました。
 以下では,同類型をご紹介します。
※なお,「子どもの手続代理人」という制度は,2013年1月から施行された家事事件手続法により新しく導入された制度です。
 同制度については,当HPの「弁護士ブログ」でもご説明したことがありますので,是非ご覧になってください。
 

2 同制度が有用な類型
(1)はじめに
 子どもの手続代理人制度は,当該子どもの手続保障を図るという観点から設けられた制度ですが,以下の①~⑥のようなケースの場合に,より有用な制度であると日弁連は考えています。
 

(2)ケース①
 第1に,子どもが,事件を申し立てたり,手続に参加した場合であって,自分で手続を進めることが事実上困難であるケースでは,弁護士が代理人として関与することが有用です。


(3)ケース②
 第2に,子どもが,相手や場面によって言動を変えてしまうような場合には,家裁調査官が適切な調査を実施するためにも,弁護士が関与して子どもの意思を把握する必要があります。
 
(4)ケース③
 第3に,何らかの理由により家裁調査官による子どもの調査が実施できないような場合には,弁護士が関与することにより家裁に情報提供をしたり子どもの相談に乗ることができます。
 

(5)ケース④
 第4に,子どもの意思に反した結論が見込まれる場合などは,子どもに対する情報提供を適切に行うためにも,代理人の存在は有用です。
 

(6)ケース⑤
 第5に,子どもの立場からの提案により適切な解決が可能な場合には,代理人が関与することが有用です。
 

(7)ケース⑥
 第6として,その他,当該子どもの手続代理人を選任しなければ,子どもの利益が十分守れないような場合があります。
 

3 最後に
 子どもの手続代理人の制度は,まだまだ始まったばかりの制度です。
 より適切な類型化を行うために,今後も,日弁連での議論は継続されると思われます。 


経営者保証に関するガイドラインのセミナー

1 経営者保証に関するガイドラインとは
 平成25年12月に,「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。
 同ガイドラインは,経営者による保証に依存しない資金調達を推進するためのガイドラインであり,国が支援しています(経済産業省,中種企業庁のほか,金融庁も,促進しています。)。
 同ガイドラインによると,①一定の場合に経営者の個人保証を求めないこと,②個人保証がなされていても,一定の場合には一定の生活費を残したり自宅に住み続けられること等を検討すること,③一定の場合に債務を免除すること,などが定められています。


2 経営者保証による問題
 当事務所では,借金問題(多重債務問題)を数多く取り扱っています。
 その中でも,破産申立の依頼を受ける場合,会社の代表者が個人として保証人となることを余儀なくされた結果,会社とともに代表者個人も破産申立をしなければならない状況に直面することがあります。
 上記ガイドラインの内容が実現されれば,このような場合に代表者(経営者)個人の利益が守られることになりそうです。


3 セミナーの開催
 上記ガイドラインの活用法等について,全国各地でセミナーが開かれます。
 長崎でも,平成27年11月25日(水),長崎商工会議所にて,「経営者保証ガイドラインセミナー」が開催されます。
 セミナーの対象者は,中小企業・小規模事業の経営者,支援機関,士業等です。
 主催は,「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」です。
  


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